SPORTS HUB

新米パパが地域コミュニティに参加するための仕掛けづくり ~SPORTS HUB vol.6~

今回は「スポーツ系公務員」の伊藤遼平さんと、元独立リーグ選手で現在プロスポーツビジネス領域で活動されている三木田龍元さんと私の3名。
※詳細なプロフィールは記事の一番最後に記載しています。

伊藤さんは埼玉県宮代町の子育て支援課「こども笑顔担当」に勤務されており、「誰もがスポーツで仲良く一緒に遊べる優しいまち」を目指して活動されています。そんな中、「新米パパが地域コミュニティに馴染むにはどうしたかよいのか?」というテーマでお声がけをいただき、スポーツの力で解決できないかを意見交換しました。

雑談レベルと思っていましたが、三人集まれば文殊の知恵。非常におもしろいアイデアが多く出たため記事にさせていただきました。

 

ママからしたら、小学校に入る前がむしろ重要ですよね

伊藤:宮代町では「地域子育てサロン」という、主に2歳以下のお子さんを持つママ同士が交流できる場をつくっています。そこでよく「パパたちの交流の場ってないんですか?」という意見が出るんですよ。

「地域子育てサロン」なのでもちろんパパも参加して良いのですが、なかなか参加に繋がらないのが実態です。パパたちがこういった場に参加して交流することで、より子育てへの参加意識が高まるのではないかと思うんです。子どもにとってもうれしいですよね。

そこで、スポーツと掛け算をしてこの課題を解決できないかと考えたのですが、現状パパが地域スポーツに参加する場はスポーツ少年団くらいしか思いつかず…他に良い方法がないか、「地域スポーツ」ということでまつひら(松嶋のPN)さんにご相談をさせていただきました。

松嶋:ありがとうございます。「地域スポーツプランナー」を名乗っていて良かったです(笑)。パパの地域コミュニティをスポーツで創出したいということですよね。

パパは、スポーツには関心があると思うんですよ。ただ、「子育てサロン」へのハードルが高いのではないでしょうか?「子育て」というワードがつくだけで、ママたちの中に飛び込まなければいけない、というイメージがあります。あくまでイメージの話です。

伊藤:確かに子育て支援センターでスポーツ事業を実施しても、ママの参加が圧倒的に多いです。この空間だと参加はしにくいですよね。

松嶋:「パパ」に特化するのがいいんですかね?

話の軸が逸れてしまいますが、そもそも20代は学校部活動や体育の後にスポーツ自体から離れてしまう時期でもありますよね。そのまま仕事も忙しく子育てに突入し、子育てから手が離れる40代以降に生涯スポーツに移行していくケースが多いと思います。

子育てという視点を外しても、20代で「楽しむスポーツ」を継続する環境をつくる必要がありますよね。そして、理想を言えば個人ではなくコミュニティでスポーツに接することができる環境。子どもと一緒に参加できるイベントやクラブなど…何が良いのでしょう。

伊藤:新米パパ教室など子育てノウハウイベントはありますが、コミュニティというのは確かにないですね。

松嶋:単発ですが、マラソン大会には親子ペアの部がありますね。小学校低学年という場合がほとんどですが。

伊藤:未就学児の部門はないのですか?

松嶋:ないですし、もし未就学児の部があったとしてもパパである必要性がなくなってしまうかもしれませんね。小学校低学年にもなってくると走るのが速くなってくるので、パパの出番になるんです。運動会などもパパのイメージですね。

おっしゃる通り、小学生に入る前までをどう設計するか。そして単発のイベントではない設計ということですよね。

伊藤ママからしたら、小学校に入る前がむしろ重要ですよね。そこでいかに育児に参加してくれるかを考えたいんです。

三木田:私は野球が専門なんですが、確かに少年野球にはパパが多い印象です。ただ、未就学児となるとあまり思いつかないですね。

パパと子どもとでお出かけならできると思いますが、コミュニティを作るというのは難しい。

伊藤:生まれ育った街にずっと住んでいるなら昔からの友人と交流できると思いますが、移住してきた方が課題なんですよね。ママ同士が仲良くなっても、パパだけ孤立してしまいます。大げさですが、それが家庭問題などに発展するケースもあるんですよ。その前段階にスポーツなどの遊びによって、相談できるパパコミュニティを設計できないか考えたいんです。

松嶋:ママ対象のイベントの場合、保育者などがその場にいるのですか?

伊藤:保育者がいる場合もありますが、職員や参加者みんなでみるという場合が多いです。むしろそれがいいんです。そこにパパがくっついてきて欲しいんですよね。

松嶋:パパと子どもが一緒にくる仕掛け作りですね。ハードルを下げる、興味をもつ、スポーツでコミュニティ…。ちょっと視点を変えて、パパ関係なしに20代~30代の男性がスポーツをするきっかけは何なんでしょうか?

伊藤:ずっとスポーツをしてきた立場だと、そこもそもそも難しいですよね(笑)

 

「ピクニック」いいですね。ハードルがぐっと下がります

松嶋:あくまでアイデアのひとつですが、「モルック」などのマイナースポーツって良いと思うんです。基本的にやったことがある人なんていないじゃないですか。それに、運動神経が関係しにくいスポーツだと思うんです。つまり、全員が平等で参加のハードルが低い。ランニングもハードルは低いけど、それよりもハードルを下げて、スポーツではなく遊び・レクリエーションの域までもっていく。

モルックの体験会に家族で来るという設計です。家族がチームになって、ピクニックにもなります。むしろ、ピクニックを前面に押し出してモルックがくっついてくるイメージの方が良いかもしれません。ピクニックならパパメインにもなれますよね。

伊藤:「ピクニック」いいですね。ハードルがぐっと下がります。

松嶋:何組かの家族でモルックをしてもらうと、当然ですがゲーム性があるので盛り上がって自然と仲良くなれそうですよね。そのままピクニックをして親睦を深めてもらう、など。どうでしょうか?費用もそこまでかからないですし、場所も最小限でできます。

伊藤:地域のパパたちが出てきやすいようなピクニックを創り、そこに敷居の低い交流できるスポーツをくっつける。いいですね。

松嶋:そのイベント設計と参加まで持っていくことができれば、その後は勝手に発展すると思うんです。交流の導入をどう設計するか。そのためのピクニック×マイナースポーツ。スポーツというよりレクリエーションという目線の方が良いかもしれません。

伊藤:そうですよね。宮代町はスポーツ盛んではないので、いろいろなスポーツを実施してみたいと思っていました。子どもが多様な運動をできるという点でも良いと思います。

このコロナ禍で実施できなくなってしまったのですが、「SASSEN(サッセン)」という新しい刀スポーツを実施する予定はあったんですよ。宮代町コミュニティ広場という機関車が常設されている場所があるのですが、そこで実施すれば今流行りの「鬼滅の刃」を連想させることができておもしろいかなと(笑)。

松嶋:うちの息子が2歳で汽車が好きなので、いきたいですね(笑)。

伊藤:宮代町は東武鉄道と関わりが深いので「電車の見える散歩道特集」というのも実施しました。

三木田:街に絡めることができると良いですよね。街のブランディングにもなります。

伊藤:「フレスコボール」というスポーツも実施する予定でした。羽子板の現代版みたいなものですね。遊びとして面白いかなと。

松嶋:竹馬、羽子板とかって今は見かけなくなっちゃいましたけど、ああいった「遊び」がいいですよね。ニュースポーツ、マイナースポーツがそれに代わるレクリエーションになり得るかなと。

それにしても、民間の立場からすると、自治体側がそこまで動いてくれると提案のし甲斐もあってありがたいですよ。少し話が逸れますが、僕は前職で自治体とマラソン大会を創る仕事をしていたんです。とてもやりがいはあったし、参加してくれた方は喜んでくれるのですが、年に1回しかできないんですよね。それに、最近は多くの自治体で開催されていて参加者の奪い合いにもなっています。

どうやったらその街に住む人がスポーツに接する機会を増やすことができるか、と考えた時に、全ての自治体がマラソン大会を開催する必要はないよね、と思ったんです。それよりも、さっきお話したようなハードルの低いレクリエーション的なものを年に何回もやった方がいいのではないか、とか。

伊藤:今、宮代町にマラソン大会はないですが、周辺自治体ではほとんど実施していますね。

松嶋:大きいイベントは派手なのでわかりやすいですよね。でも、このコロナ禍で変わる部分もあるのではないかと思っています。生涯スポーツ施策の本来のあり方を再考したいですよね。

伊藤:誰もがスポーツを楽しむことができる環境を創りを、遊びながら楽しく子どもたちに教えていきたいと思っています。

 

スポーツが表から見えないのがいいですね

松嶋:ちなみに、地域スポーツ普及の人材はいるんですか?もし回数を増やすとしたら、毎回職員が駆り出されるのは現実的ではないと思いますし、俗人化してしまって持続性がないと思います。

例えば、初回に参加しマイナースポーツにハマったパパが講師になって、次回以降他のパパに教える、とか。「町公認」などにしてしまって、広場と用具貸し出すという設計もありだと思います。

伊藤:そうですね。コミュニティのリーダーも作っていきたいと思っていました。「ピクニッカー」でもいいですね。

松嶋:「キャンパー」が話題ですし、男性はそういうの好きなので良いと思います!

伊藤:すぐ提案します!

松嶋:相変わらず行動力がすごい(笑)

伊藤:課題は明確なので。うちも来月子どもが生まれるんですよ。だからこそ等身大のパパコンテンツを作れるなと思っているので、どんどん動いていきたいです。まつひらさんは地域のパパコミュニティとかあるんですか?

松嶋:僕も半年前に引っ越してきたばかりで、かつコロナ禍なので、コミュニティは全く作れていませんね。

伊藤:まさにその課題になりますよね。パパたちが気軽に相談し合えるコミュニティを作るイベントを、この情勢下なので屋外で。

三木田さんは北海道ですよね。雪合戦とか雪だるま作りをみんなでやるとか。

三木田:コロナがあってからキャンプブームなので、確かにハマりそうですよね。私の立場(プロスポーツ側)からしたら、余暇の過ごし方として競合するのかもしれませんが、地方でふらっとプロスポーツを見に行くことができない環境だと、そういうコンテンツも必要ですね。

伊藤:プロスポーツと掛け合わせても良いと思います。試合会場にピクニック環境、とか。

松嶋:ホームタウン活動として、専門種目を教えるのではなくピクニックやマイナースポーツでの交流などもおもしろそうですよね。

三木田:そうですね。対象年齢を下げて、単純に身体を動かすことを楽しんでもらうとかはいいですね。

先ほどの話に戻りますが、やはり大きなイベント事は「実施した感じ」が出やすくて予算も大きくかけられますよね。でも、それで地域の人がどこまで関われるのか、メリットがあるのか、子どもとの設定はあるのか、という視点は改めて考えさせられました。

ただ、マイナースポーツはあくまでマイナーだと思っているので、メインのピクニックありきのマイナースポーツだと思います。

伊藤:ピクニック、プラスアルファのコンテンツを増やしていきたいですね。あと、講師もファミリーにするとおもしろいかも。ファミリー講師ができたら、ファミリーで来やすくなりますかね?

松嶋:ファミリー講師、おもしろいと思います。新しいですね。「ファミリー講師×ピクニック」。スポーツが表から見えないのがいいですね。「家族で来る」からの逆算であり、「パパを引っ張り出す」ではないのがポイントですかね。

伊藤:メインワードは「ファミリー×ピクニック」で、そこに様々なマイナースポーツを絡め、楽しんでいるうちに知らぬ間にコミュニティになる。これでいきます!ありがとうございます!

三木田さんすいません。ひたすら僕たちの話題に付き合っていただきまして(笑)

三木田:いえいえ、勉強になりました(笑)

プロスポーツチームは、自治体さんと連動するとき一番の窓口はスポーツ課なんですよ。でも、今回のようにいろんなところと関わらなきゃ発展性が少なく、逆にスポーツによって各課を繋ぐ役割を担うことができるんじゃないかと思ってます。僕も、プロスポーツ視点で社会貢献活動に新しいアクションを起こしていきたいと思っているので、またお話の機会をいただけるとうれしいです。

松嶋:僕たちがやろうと思っていることは、必須ではないんですよね。でも、スポーツが持続していくために、価値や社会貢献性を高めるために、長い目でみたら実施すべきことだと思います。でも、結局それをやるのは人であり、こういう集まりから掛け合わせて新しいアイデアが出てくるんだと思います。

ぜひ、また今後やりましょう!!

 

あとがき

今回は、いつもとちょっと違った視点で、新米パパの地域コミュニティを作るためにスポーツを活用できないか?、という議論でした。「ピクニック×マイナースポーツ」が今回のひとつのアイデアでしたが、まだまだ無限にあるはずです。

スポーツを実施し続けている側からするとどうしてもスポーツがメインの考え方になってしまいますが、スポーツを活用してもらうことで社会の課題を解決していけるのではないか?という視点も重要です。

これは、文字にしてみると言い尽くされた考え方ですが、こうして突きつけられてみると、本気で考えることができていなかったと思わされました。「地域スポーツプランナー」として、身の回りで起きている様々な出来事や課題を、スポーツに絡める意識をより強くもっていきたいと思います。そして、決してスポーツが主役でなくても良いということも、強く心に持っておこうと思います。

▼サイドストーリー

座談会メンバープロフィール

伊藤遼平さん

FC東京のチームスタッフから埼玉県宮代町職員に転職。子育て支援課「こども笑顔担当」として、障がいの有無や年齢に関わらず、スポーツで仲良く一緒に遊べる優しいまちづくりに挑戦中。

▶ Twitter:@heyzoo7
▶ 埼玉県宮代町の子育て情報サイト:https://www.kuraso-miyashiro.com/kosodate/

三木田龍元さん

大学卒業後、大学院行きを急遽キャンセルし、独立リーグに挑戦。3チームで選手として活動したのち、福井ワイルドラプターズの広報として1年間活動。現在はプロスポーツビジネスに挑戦すべく活動中。

▶ note:https://note.com/ewhexa
▶ Twitter:@RyugenMIKITA

松嶋康平(主催)

フリーランスで地域スポーツプランナーとして活動しております。詳細なプロフィールはこちらから。

▶ Twitter:@matsuhira90

 

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